進路に応じコースを編成、北陸先端大が新教育プラン
北陸先端科学技術大学院大学は、学生のキャリア目標を実現するための、新教育プランを発表した。来年度入学者から実施する。大学院教育の目標を、学術研究者養成、企業研究者養成、技術者養成、社会人教育と分け、学生の能力と「何になりたいのか」という職業意識に応じてコースを選択する。飛び入学でSD(スーパー・ドクター)コースに進めば、高校卒業後7年で博士号を取得できる。こうした取り組みは、これまで一部の大学でも行われてきたが、教育カリキュラム全体を体系的に見直すのは初めて。潮田資勝学長は「固有の問題を整理していたら日本の大学院全体の問題点が浮かび上がってきた。改革のモデルとして取り組んでいきたい」と話す。
北先大は、大学院改革のパイロットスクールとして平成2年秋に開学した。広い視野を持ち科学技術をリードする人材を育てるため、体系的なコースワークを重視し各学生が複数の教員から指導を受けるなど、米国の大学院をモデルとした教育を行っている。
一方、日本の大学院入学者は大幅に増えているが、社会(産業界)が望む資質や能力が身に付いていないとの指摘があり、特に博士号取得者の進路の実態から修士で就職する人が大半を占めている。また、学部卒業生が積極的に他分野の大学院に進学することが少ない。
こうした中で北先大が打ち出した新教育プランは、「1人ひとりのキャリア目標の実現を支援する」をキーコンセプトに、各自が将来目指す仕事や活躍の場に応じた、学位取得のための各種コースやプログラムを提供するため、プログラムを再編・新設し幅広い教育体系を整備するもの。
具体的には、(1)学部時代とは別の分野で学びたい人のための修士号取得プログラム(2年分の授業料で3年間まで授業を受けられる)、(2)実践力を備えた技術者として活躍したい人のための修士号取得プログラム、(3)産業界または研究の世界で羽ばたくことを目指すひとのための、キャリア目標別、職業タイプ別の博士号取得プログラム、(4)学部3年終了後に大学院に進み4年間で博士号を取得するスーパードクター・プログラム。
キャリア形成をサポートする実践的教育を行うため、博士後期課程では科学者・技術者のタイプに区分して教育を行うほか、海外の大学等への研究留学、国内外の機関での学外研究、企業等での長期インターンシップなどを積極的に奨励し、対照者には必要経費等を支援する。また、スキル(プレゼン能力など)、サイエンティフィック・ディスカッション、プロジェクト・マネジメント、科学技術英語教育など、従来の大学院教育で手薄だったコミュニケーション能力や社会で必要とされる実践的能力を育てる授業を強化する。
研究指導は、3人で行う複数指導体制で実施。また、履修上の問題や進路等に対して、新教育プランに沿った指導・助言を行うキャリア・アドバイザーを設置する。
さらに国立大学ではトップレベルの大学独自の給付制奨学金を新設する。プログラムや成績によって異なるが、博士後期課程では最大年間180万円を支給するほか、授業料減免等も受けられる。
潮田学長は「日本の大学院はこれまであまりキャリアを考えなかった。売り手(大学)ではなく、買い手(学生)側のニーズに合わせた教育を提供していかなければならない。教員の意識改革が最も重要になるが、産業界出身の教員が多いこともあり、学内の理解は得られている」と話す。
(知財情報局 より)